掛軸 長さの調整と修理の事例

こんにちは。五番館です。


本日はお近くのお客様より、掛軸の長さ調整と紐修理のご依頼を頂きました。


紅葉美人画のようですね。



家庭用の掛軸の長さは、1m80cm〜1m95cmくらいまでが一般的です。

(中国の掛軸などは長めに作られている物が多かったりします。)

作品の大きさや掛ける場所などによって仕上がりが異なるのですが、

こちらの掛軸は2mを余裕で超えていました。


五番館では大きな掛軸も掛かるように天井が高くなっていますので、

写真では普通に掛かっているように見えますが、一般家庭では着地してしまう可能性が高いですね。


どうするかといいますと...

このように掛ける場所に対して長すぎる掛軸は縮める事ができます。


方法は2つ


① 一番上の半月の棒(八双)と一番下に付く軸棒を外した上で、

裏打ちを一枚剥がし、任意の寸法へ調整した後、再度裏打ちを施し棒類を取り付けて仕上げる。

(これは今書いているだけでも手間が掛かるのが想像出来ます...)


② 天地の裂地と中廻しの裂地の境目を任意の長さでカットして継ぐ、

巻きに耐える補強を入れ、風帯の長さを調節し仕上げる。


①の方法は縮めた事が分からないような仕上りになりますが、

出来る掛軸がかなり限定的です。

新しい掛軸には有効ですが、自分が作った掛軸以外では難しいのが現状ですね。

当てはまらない場合は最初から表装をやり直す再表装をご検討頂く事になります。


②の方法はこちらは予算も手間もそこまで掛からず、わりと短時間で可能ですが

裏から見ると補強がありますので縮めた事が分かります。

個人的には掛軸の裏を見るのは、ほぼ持ち主のみですので②の方法がお勧めですね。




ということで今回は②の方法で行います。


裂地の色からお分かり頂けると思いますが、写真左下の部品が天(上)の裂地、

写真右下の部品は地(下)の部分から切り出しています。


掛軸の本紙の周りの裂地の大きさは、掛軸を壁に掛けて少し見上げた際に

最も美しく見えるよう計算されています。

掛ける場所やご希望の長さに基づき、加工後も見た目のバランスが崩れないように、

慎重に計算した上での調整していきます。


その後、風帯などを取り付けて完成です。



完成後の写真を撮り忘れてしまいました...

気を取り直して、次の修理は掛紐が切れてなくなっている掛軸です。



紐が切れるという事は紐を結ぶ金具も劣化しており、抜けたり折れたりする可能性があります。

今回はチェックしていると簡単に抜けてしまいましたので、

棒に補強をして新しい金具に打ち替えます。


金具の接着剤が効いたのを確認し、紐を取り付けて完成です。

これでしばらくは大丈夫ですね。





五番館ではご予算に応じた表装、額装、修復を承っております。


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